手前も奥も、写真全体にピントを合わせたい!
風景やスナップ撮影のとき、こんな撮り方をしたいときがあります。
今回はそんな「パンフォーカス撮影」の仕組みをご紹介していきます。
レンズと絞りの特性を組み合わせて…
ピントの合う範囲をコントロールしてみましょう。
全てにピントが合ったように見える仕組みとは?
『パンフォーカス撮影』とは、手前から奥まで、全てにピントが合っているように写す手法です。
まずはじめに…
皆さんがピントを合わせたところを『ピントの山』と呼びます。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-015-1024x323.jpg)
ただ、ピントの山以外は全てボケるかといえば…
そんなことはありませんよね?
ピントの山を挟んだ”手前側”と”後側”には、まだ”ピントが合って見える範囲”が続きます。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-016-1024x368.jpg)
そして、その範囲を超えたところから徐々にボケていきます。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-017-1024x367.jpg)
この”ピントが合って見える範囲”のことを『被写界深度』といいます。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-018-1024x398.jpg)
この『被写界深度』は、絞りやレンズをコントロールすることで…
”浅くしたり”、”深くしたり”することができます。
浅くすると…
=ピントが合って見える前後の範囲が”狭く”なる。
深くすると…
=ピントが合って見える前後の範囲が”広く”なる。
そして、後側のボケが完全に無くなるまで『被写界深度』をググッと”深く”した状態…
それが『パンフォーカス』です。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-019-1024x397.jpg)
(『被写界深度』については絞り優先:A (Av) モードでも詳しくご紹介しています。)
被写界深度を”深く”する3つの方法
被写界深度を”深く”する方法は…
① 焦点距離の短いレンズを使う。
② 絞りを絞る(F値を大きく)。
③ 被写体から離れてピントを合わせる。
の3つです。
気づいた方もいらっしゃると思いますが…
”ボカす方法と真逆”です。
ボカしたいなら、被写界深度を”浅く”する。
パンフォーカスにしたいなら、被写界深度を”深く”する。
ということです。
では、実際にカメラをどう操作して、被写界深度をコントロールするのか?
続けていきましょう。
簡単!カメラとレンズの『パンフォーカス』設定
焦点距離の短いレンズを使う
なるべく広角のレンズで撮ります。
28mm〜35mm(35mmフィルム換算値)位がオススメです。
広い風景を撮るなら…
28mm(35mmフィルム換算値)。
街のスナップを撮るなら…
35mm(35mmフィルム換算値)。
こんなイメージです。
ズームレンズならどっちもイケますね!
また、同じ”画角”でも、センサーが小さい方が焦点距離が”短く”なります。
つまり『フルサイズ』のカメラよりも…
『APS-C』や『フォーサーズ』の方が、パンフォーカスで撮りやすいということになります。
さらにセンサーが小さいスマホのカメラは、常にパンフォーカスの状態です。
35mmフィルム換算については…
『焦点距離 「標準?」「35mmフィルム換算?」レンズの使い方』
も併せてご参考ください。
絞りを絞る(F値を大きく)
撮影モードを『絞り優先』に合わせたら…
フォーサーズなら”F11”位…
APS−Cなら”F16”位…
フルサイズなら”F22”位…
に設定します。
もっと絞れば『被写界深度』はさらに深くなりますが…
絞りすぎは画質の悪化を招きます。
また同時に、絞るほど”暗く”なるので、シャッター速度が遅くなってしまいます。
曇りの日や夕方、裏路地など…
”薄暗いところ”でパンフォーカスで撮る場合は…
『手ブレ(カメラブレ)の失敗』に注意しましょう。
シャッター速度が ”1/60秒” を下回ったら…
手ブレの危険信号です。
被写体から離れてピントを合わせる
被写体に寄れば寄るほど、ボケの量は多くなります。
パンフォーカスにしたいときは、反対に被写体から離れてピントを合わせます。
広角レンズで撮る場合、ピントはカメラから”3m位先”に合わせましょう。
この3つを組み合わせれば…
カメラ(自分)から”約1m先〜後ろは全て”にピントが合ったように写ります。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2020/01/koneta-20160125-010-1024x352.jpg)
”3m先の被写体を撮る”ということではありませんよ!
”3m先にピントを合わせる”ということです。
初めだけオートフォーカス、後はマニュアルフォーカス
パンフォーカスで撮り続けるなら、オートフォーカスで毎回”3m先”を探すのは大変です。
最初にピントを合わせたら、マニュアルフォーカスに切替えましょう。
ただ、途中でピントリングを動かさないように注意が必要です。
慣れてくれば、最初からマニュアルフォーカスでもいいかもしれません。
パンフォーカスの設定が出来上がったら…
あとは、”被写体から1m以上離れる”ことだけ気をつけて…
自分の気持ちが反応したときにシャッターボタンを押すだけです!
枚数は気にせず、どんどん撮ってみましょう。
![被写界深度,深い,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/02/koneta-20160125-013-1024x683.jpg)
望遠レンズだとパンフォーカスは無理?
望遠レンズでも『パンフォーカス』は可能です。
例えば、フォーサーズのカメラの場合。
”200mm(35mmフィルム換算)”の望遠レンズでも…
絞りを”f16”、ピントを”約50m先”に合わせれば…
”カメラの約25m先〜後ろは全て”にピントが合ったように撮ることができます。
遠くの被写体同士で『パンフォーカス』というイメージです。
![被写界深度,望遠レンズ,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-007-1024x685.jpg)
被写界深度の”目安”が書いてあるレンズもあります
一部のレンズには被写界深度の”目安”が記載されています。
![被写界深度,レンズ,目盛り](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-001-1024x379.jpg)
皆さんのレンズには書いてありますか?
ちょっと高めなレンズや、広角の単焦点レンズだったりすると付いています。
セットで買った”標準ズームレンズ”だとほとんど付いていません。
目盛りの部分だけを拡大図にしてみました。
(図はイメージです)
ピントリングを回すと、”グレーの部分”も左右に動きます。
カメラから”1m先”にピントを合わせたとき…
例えば、カメラから”1m先”の被写体にピントを合わせた時の『被写界深度』は…
![被写界深度,レンズ,目盛り](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-003-1024x224.jpg)
F5.6なら、”カメラの先0.8m位 〜 1.5m位”まで。
F11なら、”カメラの先0.7m位 〜 3m位”まで。
F22なら、”カメラの先0.4m位 〜 ∞(無限遠)”まで。
と教えてくれます。
絞るほど『被写界深度』が深くなることが良く分かります。
カメラから”0.5m先”にピントを合わせたとき…
次に”0.5m”まで被写体に近寄ってピントを合わせた時です。
![被写界深度,レンズ,目盛り](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-004-1024x221.jpg)
『被写界深度』は…
F5.6なら、”カメラの先0.5m位 〜 0.6m位”まで。
F11なら、”カメラの先0.5m位 〜 0.8m位”まで。
F22なら、”カメラの先0.5m位 〜 1m位”まで。
被写体に近寄り過ぎているので…
F値を最大にしても『パンフォーカス』にはなりません。
”F11”でパンフォーカスにするなら?
今度は、希望の”F値”が先に決まっている場合…
『そのF値でパンフォーカスで撮るには、何m先にピントを合わせれば良いか?』
調べることもできます。
まず先に『∞(無限遠)マーク』を後側の ”11” に合わせます。
![被写界深度,レンズ,目盛り](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-005-1024x211.jpg)
そうすると…
カメラから”3m位”先にピントを合わせれば…
カメラの約”1m位”先からの『パンフォーカス』で撮れることが分かります。
自分で被写界深度を調べたいときは
『被写界深度』は計算式で出せますが複雑です。
計算するよりも、調べちゃう方が簡単ですよ。
① メーカーページの『被写界深度表』で調べる。
サポートページや、仕様紹介のページに『被写界深度表』が載っていることがあります。
![被写界深度,被写界深度表](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-006-1024x650.jpg)
ただ、少しマニアックなページなので見つけにくいかもしれません…
記載ページがないメーカーもあります。
② 計算サイトやアプリを使って調べる。
『被写界深度』を計算してくれるアプリもあります。
スマホに入れておけば、出先でちょっと調べたくなったときも便利です。
App Storeの検索窓に『被写界深度』と入力すると、アプリがいくつか出てきます。
その中で、僕が使って見やすかったのは…
『DoF Table – 被写界深度計算アプリ(無料)』です。
(アプリのダウンロードは自己責任でお願いします)
アプリをインストールしたら、お使いのカメラとレンズを一覧から選びます。
![被写界深度,アプリ,パンフォーカス](https://flowercamera.net/wp-content/uploads/2016/01/koneta-20160125-012-1024x696.jpg)
すると…
簡単に『被写界深度』が分かります。
一覧表で見比べると、”絞り”と”ピントの合う範囲”が連動して変化する様子がよく分かります。
ご興味のある方は是非!
少々ややこしい『被写界深度』ですが…
① 〇〇mmのレンズ で…
② F〇〇にしたとき…
③ ピントを〇〇m先に合わせると…
④ どこからどこまでピントが合うか?
この順番でチェックしていけば分かりやすいと思います。
そして、『どこまで = ∞(無限遠)』になったとき…
”パンフォーカスで撮れる”ということです。
パンフォーカスで遊んでみるならこちらがオススメです。
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