「『シャッター速度優先』ってどういう時に使うんですか?」
このように聞かれることが結構あります。
確かに、普段使いは『プログラムオート』『絞り優先』がオススメです。
『シャッター速度優先』を使う時はどんな時か…
それは『動きの表現を撮りたいとき』…
動いている被写体をピタッと止めて撮りたい!
動いている被写体をわざとブラして撮りたい!
そんなときです。
『シャッター優先優先』は、しっかり覚えて使いこなせるようになると…ハマる人が多いんです(笑)
『いちばん面白いモード』かもしれませんよ!
写真のテクニック的にもレベルアップしますし、本格的な写真も撮れます!
なるべく簡単にお話していきますので、皆さんも是非マスターしちゃいましょう。
『シャッター速度優先』は、カメラの中にある『シャッター窓』の開く時間を『速くしたり、遅くしたり』できるモードです。
それに合わせて、レンズ側の『絞りの窓』はカメラが最適なものを自動的に選んでくれます。
まずはシャッター速度を変え方をチェック
『シャッター速度』は、ダイヤルやボタンの操作で変えることができます。
カメラによって操作が多少違いますので、取扱説明書で『シャッター速度優先』『シャッター速度の変え方』のページを確認してみましょう。
シャッター速度の変え方が大丈夫でしたら、まずはシャッター速度を1/60秒に合わせてみましょう。
60秒じゃないですよ!1/60秒です。
1/60秒のシャッター速度は『1/60』や『60』と表示されます。
また、60秒のシャッター速度は『60″』や『60』と表示されます。
カメラメーカーや機種によって表示が少し違います。
『1/何秒と何秒の表示の違い』を、しっかり確認しておきましょう!
シャッター速度を速くする
今度は1/60秒からシャッター速度を速くしてみましょう!
1/125秒 > 1/250秒 > 1/500秒 …
だんだん速くなっていきます。
では、1/1000秒に合わせたら、シャッターを何回か切って、シャッター音を聞いてみてください。
少々マニアックですが…
「カシャッ!!」という感じですね?
この感覚を覚えておきます。
シャッター速度を遅くする
さて今度はシャッター速度を遅くしていきます。
まずは、1/60秒まで戻して…さらに遅くしていきます。
1/15秒 > 1/8秒 > 1/4秒…
だんだんシャッター速度が遅くなっていきます。
この辺りからは『手ブレ(カメラブレ)の失敗』に注意しないといけないシャッター速度です。
では、1/4秒で何回かシャッターを切って、また音を聞いてみましょう。
音はどんな感じですか?「カッ…シャ…」というスローな感じですよね?
先ほどの1/1000秒で切った時の音と全然違うのが分かりますか?
なぜ、マニアックにシャッター音を聞いていただいたかは、後でご説明します!
では、さらにシャッター速度を遅くしていきます。
1秒…この辺りからは間違えなく三脚が必要ですね!そして8秒、15秒、30秒…
カメラによっても違いますが一番遅いシャッター速度の設定は30秒〜60秒位までです。
30秒に設定したらもちろん『30秒間シャッターの窓が開く』ということで、星空の撮影などで使います。
『いちばんはじめ』では使うことはあまり少ないと思いますが…
1秒以下のシャッター速度で撮ると、撮った直後にノイズ処理の時間が加わる場合が多いです。
シャッター速度1秒ならノイズ処理1秒…
シャッター速度10秒ならノイズ処理10秒…
ノイズ処理中は次の写真が撮れません。
「カメラが固まった…どうしよう」と焦るかもしれませんが…
大丈夫!仕事中なんです。
では次に進む前に、1/60秒に戻しておきましょう!
シャッター速度の『速い・遅い』を耳で覚えておく
撮るときは『手ブレ(カメラブレ)の失敗』をしないように、手振れ補正はON、シャッター速度(目安は1/60秒)を確認しながら撮るのが大事です!とご紹介しましたが…
夢中で撮っていると、カメラのシャッター速度の表示を見落とすこともあります。
僕もそうです。
『速いとき・遅いとき』のシャッターの音の違い覚えておくと、もし『シャッター速度が遅い』のを見落として撮ってしまっても、耳で『シャッター速度の遅さ』に気付けるんです。
これはシャッター速度優先だからではなく、いつのときでもそうです。
もしかしたら、ISO感度が低い感度に固定されてるのかもしれません…
絞りを絞りすぎているのかもしれません…
ただその場が暗いだけかもしれませんが…
その音に気付かずに、この先そのまま撮るのと、ここで気付いて『おかしなところを直せる』のとでは大きな差があります。
「カッ…シャ…」に気が付いたら、なんでシャッター速度が遅くなっているのかチェックしてみてくださいね。
音で気付くってこと、結構ありますよ!
シャッター速度を遅くして撮るときはこんなとき
「動いている被写体をわざとブラして撮りたい!」ときは、スローシャッターに設定して撮ります。
カレンダーなどで見たことがあると思いますが…
滝の写真で水の流れがサーッとブレている写真や、川の水の流れが絹のようにフワッと写っている写真がありますよね?
こういう写真は意外と簡単に撮れちゃいます!
『シャッター速度優先』に合わせて『シャッター速度』を遅くするだけ。
重要なのは『スローシャッター』なので、手ブレ(カメラブレ)しないように撮ることです!
カメラを三脚に据えて、シャッター速度を1/8秒位に設定して、静かにシャッターを切りましょう!
明るさはしっかり『露出補正』で微調整しましょう!
他の設定は『7つのオススメ』のままで大丈夫です。
初めは1/8秒位を目安に…
「ブレが足りないな…」と思ったら、もう少し『シャッター速度を遅く』
逆に「もうちょっとハッキリ写したい」と思ったら『シャッター速度を速く』…と微調整します。
水の流れの速さがどこも同じではありませんので、その場に行って決めるしかありません。
『スローシャッター』で撮った写真は、人間の目で見る『それ』とは全く違う『絵』になります。
まさに写真ならではの表現で、ハマる方も多いんですが…
『スローシャッター』はいつでもどこでも使える技ではありません。
「スローシャッターにして撮ったら、写真が『真っ白』になった!」なんてことに遭遇するかもしれません…
それは『その場所が明るいとき』によくある失敗です。
『写真が真っ白!シャッター速度優先の『露出オーバー』の失敗』で紹介していますので、併せてチェックしましょう!
『ブレを生かした写真』と『ただブレただけ』は全く別!
ブレを生かした写真を撮るコツは『ブレさせるところと、ブレさせないところをしっかり分ける』ことです。
渓流の写真で例えると、ブレて良いのは水の流れだけで、周りの岩や木などはブレてはダメですよね!
『スローシャッター』の撮影では三脚が必須です。
「今日は三脚を持って来ていない…」という場合は…
カメラをどこかに置いて、静かにシャッターを切れば、なんとか撮れる…かもしれません。
「せっかく三脚を買って撮ったのに、ブレている気がする…」
こういうお悩みも良く聞きます…
三脚に固定してもブレる理由…
三脚が安定していないという根本原因もあるかもしれませんが、多いケースは『レリーズブレ』です。
シャッターボタンを押すときにカメラが少し揺れますが、その揺れが写真をブラしてしまうんです。
『スローシャッター』ではそのくらいの揺れでも、写真に影響してしまいます。
この『レリーズブレ』を防ぐためには、カメラに触らずにシャッターを切る必要があります。
そんなときのお役立ちグッズが『レリーズケーブル』です。
『レリーズケーブル』はカメラと繋いで、ケーブルの先に付いたシャッターボタンでシャッターを切る道具です。
カメラに触らずにシャッターが切れるので、どれだけ気合を入れてボタンを押してもカメラは揺らしません!
星空・花火を撮る時は必須です。
「今日はスローシャッターで撮るよ!」という時もあった方が便利です。
レリーズケーブルは、メーカ別・機種別に対応が分かれています。
必ず自分のカメラに合う『レリーズケーブル』を確認してから買いましょう!
他には『リモコン』や『スマホ(WIFIでカメラと接続)』などを使う手もあります。
お好きな方法で『レリーズブレ対策』はしっかりと!
スローシャッターは簡単に撮れる割に、本格的な写真が撮れます。
いろんなシーンを探して撮ってみてくださいね!
シャッター速度を速くして撮るのはこんなとき
動いている被写体をピタッと止めて撮りたい!
走っている子供を撮りたい、公園でペットを撮りたい、電車、飛行機、運動会…などなど
こういうシーンを撮りたい方、または、頼まれて撮らなくてはならない方も少なくないと思います。
いわゆる『動きモノ』は『シャッター速度優先』で『シャッター速度を速く』して撮るシーンの代表です。
『動きモノ』撮影の一番多い失敗は『被写体ブレ』!
『動きモノ』を撮るときは、被写体の速さにもよりますが、最低でも1/250秒以上のシャッター速度が欲しいところです。
被写体が近くを移動する場合などは、1/1000以上のシャッター速度が必要になる場合もあります。
『動きモノを止めて撮りたいとき』に、一番多い失敗は『ブレの失敗』です。
このブレは、4大失敗の『手ブレ(カメラブレ)』ではありません。
『被写体ブレ』の失敗です。
これは、動いている被写体がブレてしまって失敗…
『被写体の動く速さに対してシャッター速度が遅かった』ことが原因です。
手ブレと被写体ブレの見分け方
『手ブレ(カメラブレ)』の失敗写真は、写真全体がブレています…
『被写体ブレ』の失敗写真は、被写体だけがブレています…
先ほどの『スローシャッターでわざとブラして撮る』は『被写体ブレ』を生かした撮影でした。
今度は『被写体ブレ』がNGなのです!
動きモノ撮影のポイントは『被写体ブレ』をいかにクリアーできるか?です。
AUTOやプログラムオートでは『シャッター速度』はカメラにお任せです。
カメラが、動いている被写体を止めて撮れるほどの『速いシャッター速度』に設定してくれることは、ほぼありません。
あくまで『手ブレ(カメラブレ)をしない程度のシャッター速度』をキープしてくれるくらいです。
ですのでここは、皆さんが『シャッター速度優先』に切替えて、自分で『シャッター速度を速く』する必要があるのです!
動きモノの基本設定
動きモノを撮るときのカメラの設定は、そんなに難しくありません。
まずは『シャッター速度優先』で『シャッター速度』を1/250秒くらいに合わます。
① まず1/250秒で撮ってみます。
② 再生して被写体がブレていないかチェックします。
③ 被写体がブレていたら、もう少し速いシャッター速度(1/500秒など)にして撮ってみます。
②、③の繰り返しで、そのシーンに必要なシャッター速度を決めます。
『動きモノ』を撮るときの『7つの設定』はこんな感じしてみましょう。
『動きモノ』が撮り終わったら、オススメの設定に戻すのもお忘れなく!
後は、シャッターを切るタイミングに集中です!
設定自体はそんなに難しくありませんが…
『撮る』のが…難しいんです!
『動いている被写体を追いかけながらピントを合わせる』というのは慣れが必要です。
カメラのオートフォーカスの性能にも差が出るところです。
さらに、運動会などのシーンは、遠目から『望遠レンズ』で撮ることが多いと思いますが…
望遠レンズは、画角(写る範囲)が狭いので、被写体が動いていると『画面の真ん中に入れること』すら簡単ではありません…
いちばんはじめは『少し広めに撮る』ようにするといいかもしれません。
例えば、上の『元の写真』くらい広めに撮っておいて…
①や②のように『後でトリミング』するのも撮り方の1つです!
やはり②のカットは迫力がありますよね!
でも…はじめから②を狙って、画面いっぱいに撮ろうとすると…
こうなることが多いです…
これが、望遠レンズで動きモノを撮る難しさなんです。
『被写体ブレしていない』
『ピントもしっかりあっている』
『明るさもちょうどいい』
この3つはしっかりと。
それで、少し広めに撮っておけば、トリミングに十分耐えれる『元の写真』となります。
今はカメラの画素数もかなり多いですので、多少のトリミングで写真がザラザラになることはありません。
トリミングはパソコンで簡単にできます。
スマホに写真を入れる方は、スマホの中でトリミングするのも簡単ですね!
『動きモノ』の撮影に慣れてきたら、トリミングなしの②を狙っていきましょう!
いちばんはじめは大変かもしれませんが…
『動きモノ』も数をこなせば必ず上手になります!
まずは『慌てず落ち着いて』たくさん撮ってみましょう!
ただ、同じ『動く被写体を撮る』場合でも…
暗い場所でとなると、ちょっと設定が難しくなります。
暗いところで安易にシャッター速度を速くすると『写真が真っ暗』になってしまいます。
経験ありませんか?
『写真が真っ暗…暗い場所でシャッター速度を速くするには?』で詳しくご紹介していますので、併せてチェックです!
暗いところで『動きモノをブラさず撮る』のは…
一番難しいんです。