「古いiPhoneで撮る写真がエモい」と度々話題になりますが、僕も大昔に買った iPhone 4をようやく探し出せたので、さっそく撮ってみたところ、かなり面白くて どハマり中です。

まず最初に面を喰らうのは「画面の暗さ」で、特に屋外では何がどう写っているのかが分かりません。
ほぼほぼノーファインダー状態になるので、構図や露出の決定に「勘と運」の要素が多くなる楽しいカメラです。

iPhone 4は色が自然、特に赤・白がキレイ
そして撮った後のチェックも同様、外ではかなり厳しいので「家に帰って初めて撮った写真を見る」という、フィルムで撮っていた頃の懐かしい感覚を思い出します。
肝心の写真の仕上がりに関しては、あまり複雑な処理がされないせいか、今の iPhoneよりも自然で素直な写りが好印象で、特に赤のキレイさに目を惹かれました。

自然な「白飛び」もエモい
iPhone 4は露出補正が出来ませんが、AE/AFロック(画面長押し)は出来るので、先にまぁまぁ希望の明るさに固定してから構図を決めて撮れば、多少のコントロールが可能です。

やはり赤がイイ感じ
久しぶりに iPhone 4で撮ってみて、確かに今の iPhoneとは違う「写りのエモさ」感じましたが、その理由は恐らく「絶妙に狭い画角」と「メリハリのある明暗差(=HDR処理が弱い)」の影響が大きいと思います。
ただこの2つに関しては、iPhone 16シリーズなら「似たような設定」にして撮れるので、今回色々と試して比べてみました。
「古いiPhoneは持ってないけど、iPhone 16なら持ってる」という方は、一度お試しいただくと面白いと思います。

iPhone 4のカメラスペックはこんな感じ
絶妙に狭い32mmの画角がエモい
iPhone 4の1倍の焦点距離をググってみたら、同じく写りがエモいと賞される最強スナップシューター「写ルンです」と同じ約32mm(フルサイズ換算)でした。
「32mmがエモさの秘訣」なら、皆さんの iPhoneの場合、ズーム倍率を 1.2x~1.3x位に合わせて撮れば、同じ「狭めの画角」を再現できます。

例えば、iPhone 16は1倍が 26mmなので…
32mm÷26mm ≒ 1.25 → 1.25x位で撮ればOK
最近のProシリーズは1倍が24mmなので…
32÷24 ≒ 1.33 → 1.3x位で撮ればOK

iPhone 4

iPhone 16
画角を似せるのは簡単
1.2、1.3倍ズームすると変わること
「たった1.2、1.3倍でそんな変わる?」と思うかも知れませんが…、普段24mmや26mmで撮り慣れている人が、いきなり32mmで構えると、「全然入りきらない…」と画角の狭さに戸惑うと思います。
でもそのとき、1倍に戻すのを我慢して「自分が後ろにバックして撮る」と、いつもより背景が少し狭く写るので、不要なモノが構図外に消え、ゴチャつきにくくなります。
また、後ろに下がって撮ることで、背景が少し前に近づいたように写ります(=圧縮効果)。
たった1.2や1.3倍…ですが、「少し狭めな背景」と「軽い圧縮効果」という写真の美味しい効果が生まれるため、写りの雰囲気はかなり違って見えるはずです。
普段ズームをあまり使わない方は、iPhoneを被写体に向けてからズームするのではなく、先にズームをセットしてから被写体に向けるのがコツで、後は自分が前後に動いて構図を整えましょう。
実は、32(35)mmはオールマイティーな画角とも言われ、風景・スナップ・人物・料理・物撮り・インテリアなどなど、様々なシーンがオシャレに撮れるので、今回だけではなく普段使いにもおすすめです。(逆に1倍が向いてるのは風景と集合写真くらいでしょうか…)
HDRの効きが弱めで、メリハリのある明暗差がエモい
iPhone 4で撮れる写真の特徴 2つ目は、明暗差が大きめで陰影がハッキリしていることです。

iPhone 4
HDR処理が全盛の令和スマホは、「写真に写る明暗差」がどんどんフラットになり、全体的に明るく、何となく影が薄めな写真が量産されがちですが、そんな中、平成スマホで撮れる「ガツンと強めなコントラスト」の写真がエモく感じるのだと思います。
実際、影を強調させた写真が撮りたい人は、それをさせてくれない近頃の iPhoneはつまらなく感じると思います。

iPhone 16
でも、iPhone 16シリーズで刷新された、「最新世代のフォトグラフスタイル」なら、撮影時に(撮影後も無劣化で)好きなだけ影の濃さを弄れるので、お好みで iPhone 4のような「エモい明暗差」を再現しながら撮ることが可能です。
グラフの上下(トーン)で影の濃さを、左右(カラー)で彩度がコントロールできます。
上記は撮影後の編集画面ですが、撮影時にも同じグラフを出せます
というわけで、iPhone 16で「最新世代のフォトグラフスタイル」を使って、iPhone 4のような明暗差を再現してみると…

iPhone 4

iPhone 16
なかなか良い感じに似せて撮れました。
グラフの出し方や調整方法については、こちらの記事もご参考ください
iPhone 16シリーズの新しいフォトグラフスタイルで、紅葉をもっと楽しく撮る方法【カラーとトーンの設定】
「最新世代のフォトグラフスタイル」は、2025年4月現在、iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxモデルで使用できます。(16 eは非対応)
最新世代の「フォトグラフスタイル」を使用する|Appleサポート
僕はそれまで、iPhone 14 Proを使っていましたが、どうしてもこの機能が使いたくて iPhone 16に機種変しました。
もちろんいつもの「露出補正(太陽マーク)」も併用できるので、シャドウ部の明るさと、全体の明るさを別々に操ることができます。
事前のアナウンスもなく、これだけ撮影機能が刷新されたことは驚きですが、まだあまり広く周知されていないので勿体ない気がします。
順光で iPhone 4のエモさを再現
ズーム倍率を1.2x位に合わせて、最新世代のフォトグラフスタイルの「トーン」をマイナス側に調整する事で、iPhone 4で撮った風の写真にできますが、さらに「順光」を狙って撮るとバッチリとハマります。

iPhone 4

iPhone 16

iPhone 4

iPhone 16

iPhone 4

iPhone 16
もちろん iPhone 16は、もっと今風の明るくてフラットな明暗差でも撮れます。

iPhone 16
⇄

iPhone 16
これだけ明暗差を弄ってもディテールが崩れにくいのは、具体的にどういった仕組みなのか気になります。
ちなみに、撮影時にリアルタイムで影の濃さやコントラストを調整できるのは、Pixelシリーズのデュアル露出補正や、Galaxyシリーズのプロモードなどでも可能です。
ただ、Galaxyは設定が奥に深すぎて使いにくく、Pixelは操作性は良いですが彩度を弄れないのが惜しいところ…、となると、後出しではありますが、直感的な操作で明も暗も彩度も一括で調整できる「最新世代のフォトグラフスタイル」は秀逸だと思います。
逆光だと新しいiPhoneの実力が隠しきれない…
順光では「影の具合い」をイイ感じに再現できますが、逆に逆光でハイライトをぶっ飛ばそうとした時は、優秀なセンサーとソフトウエアに反抗されます。
ですので、逆光の仕上がりは新旧のスマホで結構異なりますが、個人的にはどちらも好きな感じです。

iPhone 4 💮

iPhone 16
夕日の光が赤く写るiPhone 4、黄金に光る窓がエモい

iPhone 4

iPhone 16 💮
逆光でもディテールがしっかり残る iPhone 16
地上部分の夕暮れ感を出しつつ、空と雲のディテールも残せるiPhone 16、明暗差と彩度を指一本でコントロールできる「最新世代のフォトグラフスタイル」の凄さは特に逆光で際立ちます。
もちろん撮影時に調整可能
これまで逆光が苦手だった方でも自由にイメージを操れるはずです。
ただ、iPhone 4のような「昔風の白飛び」を再現したい場合は、撮影後に別のアプリで編集しないと難しそうです。
ちなみに「最新世代のフォトグラフスタイル」の最大の欠点は、グラフの操作性が悪すぎる事で、細かい調整がやり難くく、やむを得ずタッチペンを持ち歩く程です(笑)。
例えば、縦と横でスライダーを別々にするなど、今後の改良は必須だと思います。
※ トーンの調整(グラフの上下方向)だけなら、「カメラコントール」で操作すると快適です。
さて今回は、iPhone 4で撮れるエモい写真を、最新の iPhone 16で再現する方法をご案内させていただきました。
設定は以下の2つで…
①「ズーム倍率」を1.2~1.3倍位に合わせる
②「最新世代のフォトグラフスタイル」を弄る
(プラス、僕は48MP設定で撮っています)
と簡単ですので、お時間のある時に色々撮って遊んでみて下さい。

iPhone 4

iPhone 16

そう言えば…、iPhone 4が発売されたのは2010年の事ですが、ちょうどその頃から”いわゆるカメラ”の売り上げが頭打ちになり、その後 恐ろしい勢いで縮小していったのを思い出しました。
(訳)スマートフォンがカメラ業界の数十年の成長を消し去る

思いっきりカメラ世代の僕としては、このグラフこそエモいですが、昔の iPhoneや写ルンですの写真がエモいと感じる人が多いなら、何かのきっかけで2010年前後のゴツいデジタル一眼がリバイバルする可能性も大いにあり得る気がします。
今回もご覧いただきありがとうございました。