料理とかお花とか、後ろがフワッとぼけた写真に憧れるけど、私が撮っても全然ボケない!
と、お困りの皆さんに…
今回は、サッと簡単に背景ボケが撮れるように、お手伝いをさせていただきたいと思います。
ボケるレンズを衝動買いする前に、ぜひお試しください。
撮影モードは、プログラムオート(Pモード)がおすすめですが、お任せオートでも大丈夫です。
絞り優先をお使いの方は、ハウツー本に書いてある通り、F値を小さくした状態でご覧ください。
スマホでもコツは同じですが、センサーが小さいのでボケは控えめになります。
それでは、ボカすための大事なポイントを、最初に2つご紹介していきます。
① 被写体に近付くほど、後ろのボケが濃くなる
1つ目のポイントは、カメラからメインの被写体まで距離です。
背景をボカして撮りたければ、なるべく被写体に近づいて撮るのがコツです。
ピント位置(被写体)がカメラに近い方が、後ろのボケが濃くなります。
ただ、近付きすぎると、ピントが合わなくなるので要注意です。
普段使いにおすすめの 標準のズームレンズの場合、ピントが合わせられるのは、被写体の約2、30cm手前までで、それを超えて近付いてしまうと、ピントが合いません。
これは、オートフォーカスだから合わない のではなく、レンズの仕様なのでどうしようもありません。
同じように、望遠ズームレンズも、1m位は離れないとピントが合いません。
② 遠くの後ろが 濃くボケる
2つ目のポイントがとても重要です。
そもそも背景ボケは、被写体の後ろに写るボケですが、被写体のすぐ後ろはボケが薄く、遠く離れるほど濃くなります。
遠くの後ろ がよくボケる
背景をボカしたければ、被写体のなるべく遠くの後ろ(ボケの濃い所)を 構図に入れて撮る必要があります。
2つのポイントをまとめると…
なるべく被写体に近付きつつ、遠くの後ろも 一緒に撮る。
ということになります。
そして、そのように撮るには、カメラを被写体と同じくらいの高さまで下げて、真っ直ぐ水平に撮るのがコツです。(水平アングル)
ボケない… とお悩みの方は、斜め上から撮ることが多くありませんか?
それだと、被写体のすぐ後ろが背景になってしまうことが多いので、ボケの濃い 遠くの後ろが写っていないという状態になります。
ボケないというよりも…
ボケが写っていない…という感じです
ですので、被写体の位置を変えるなど、なるべく遠くの後ろが一緒に写るように工夫すれば、斜め上から撮っても背景はボカせます。
これなら、斜め上から撮ってもボケが写ります
撮る前に「こっちからこう撮ったら、背景が遠くできる(ボケる)な」と自然に考えるようになれば、もうボケ職人の仲間入りです。
料理やお花、友達や子供やペットなど、上手にボカして撮る人は、上から見下ろす感じではなく、被写体と同じ位の高さから、自然と水平に近いアングルで撮ることが多いと思います。
屈んでみたり、膝立ちになったり、しゃがんだりと、カメラの高さを積極的に変えて撮ると、楽しくキレイにボカして遊べます。(今のカメラはモニターが動くので、膝や腰の負担がだいぶ楽ですが…)
さらにボカしのコツを続けます。
望遠で撮った方が、ボケが分かりやすい
水平アングルで手前と奥を意識して撮れば、広角でもキレイにボケます。
でも、教則本に載っているような、印象的で分かりやすい ボケ写真を撮りたかったら、少し望遠側で撮ることをおすすめします。
標準ズームレンズなら、一番望遠側にズームして撮ってみましょう。(フルサイズ換算80mmくらい)
標準ズームレンズ(エントリークラス)
どうして望遠側で撮ると、分かりやすいボケになるのか?
理由は2つあります。
1|望遠で撮ると、背景が狭く写せるから 分かりやすい
狭く? 望遠は 大きく写せる じゃないの? と思われるかもしれませんが…
広角側は文字の通り、(背景を)広く写せます。
そして、広角の対となる望遠は、やはり広いの反対で、(背景を)狭く写せます。
背景を狭く撮ると、余計なモノが構図に入りにくいので、シンプルな背景が作れます。
シンプル + ボケ のステキな背景を用意して、その前に主役を入れてあげると…
皆さんが良く見る、お手本のようなボケ写真が出来上がります。(どなたかが「おしゃれに撮れる」と言っていました)
望遠側にズームして撮ると、被写体が画面からはみ出してしまうかもしれませんが、その場合は、ズームを戻すのではなく、自分が後ろに離れればOKです。
2|離れて撮ると、後ろのボケが大きく・近付いたように写るから 分かりやすい
写真は離れて撮ることで生まれる、美味しい写りの効果がいくつかあります。
その1つは、離れて撮るほど、背景が大きく・近付いて写るという「引き寄せ効果」です。
離れるという点では、ボケが少し弱まりますが、それ以上に、背景のボケが大きく、被写体に迫るように近付いて写ります。
ボカして撮りたかったら、とりあえず先にズームアップしてから被写体に向けて、構図を考えるのもおすすめです。
また、お持ちでしたら、望遠ズームレンズの一番望遠側で、被写体から1.5mくらい離れて撮ると、背景はもっと狭く、後ろのボケももっと被写体に近付いて写りますので、まさに絵のような素敵なボケ写真が出来上がります。
望遠ズームレンズは、遠くを大きく撮るのも得意ですが、このように、背景をボケボケに見せるのも大の得意で、特にお花を撮るときに良く使われるレンズです。
ボケは被写体の「前」にも隠れてる
背景ボケの次は、被写体の前側に写るボケのコツです。
背景をボカすコツは…
なるべく被写体に近付きつつ、遠くの後ろも 一緒に撮る
ですので、メインの被写体に近付けず、カメラから遠いときは、背景のボケはあまり期待できません。
でも、このような位置関係のとき、今度はメインの被写体の前側に、ボケの空間が生まれます。
この ボケの空間に、わざと何かを入れて撮ると…
フワッと模様のようなボケになって写ります。
普通、被写体の前に何かを入れて撮ろうとは思いませんが、被写体とカメラとの間にも ボケが写ることを知っていれば、このように写真に素敵なアクセントを付けることもできます。
そして、このような前ボケを撮るのが得意なのも 望遠ズームレンズです。(カメラをレンズ2本付きで買った方はラッキーです)
望遠ズームレンズ(エントリークラス)
望遠ズームは1mくらい離れないとピントが合いません。
でも、離れることで出来る 広い前ボケ空間に、何かを上手く入れて撮れば、それが全部ボケに変わります。
そして、このときも、なるべく水平に近いアングルで撮ることで、手前から遠くの後ろまでを 画面に入れて写すことができます。
ただ、前ボケを撮るときは、ピントを奥に合わせる必要がありますので、少しだけコツが必要です。
ピンボケの失敗は、ピントをカメラ任せにしているせい!?|写真の4大失敗
スマホのように、ピントの位置をタッチで決められるカメラなら簡単です。
キレイなボケを撮るときも「写る明るさ」が大事です。
写真の写る明るさは、カメラが最初に大体決めてくれますが、その後、自分でしっかり微調整しないとキレイに撮れません。
写る明るさは、露出補正で1枚1枚しっかり整えてから撮りましょう。
暗い?明るい?写真の明るさは『露出補正』で簡単・自在にコントロールできます。
スマホで撮るときも露出補正が大事です。
① 被写体にカメラを向け、なんとなく構図が決まったら、ピントを合わせたいところをタップします。
② タップしたところに黄色い枠が表示され、ピントと明るさを合わせてくれます。
③ 黄色い枠の右側に「太陽のようなマーク」が出ていることを確認したら…
④ 画面のどこでも良いので「上にスワイプ」すると「明るく」できます。
⑤ 反対に「下にスワイプ」すると「暗く」できます。
⑥ 画面に写る被写体をよく見ながら、指を上下にスワイプして、じっくりとお好みの明るさに仕上げてから撮ります。
※ 少し時間が経つと、決めた明るさが元に戻ってしまうことがあります。
その場合は、また①の手順からやり直しましょう。
① 被写体にカメラを向け、なんとなく構図が決まったら、ピントを合わせたいところをタップします。
② タップしたところにマークが表示され、ピントと明るさを合わせてくれます。
③ 撮影画面に「明るさ調節スライダー」が出たら…
④ スライダーを「上にスワイプ」すると「明るく」できます。
(横位置で構えた時は「右にスワイプ」)
⑤ 反対に「下にスワイプ」すると「暗く」できます。
(横位置で構えた時は「左にスワイプ」)
⑥ 画面に写る被写体をよく見ながら、じっくりとお好みの明るさに仕上げてから撮ります。
※ Androidは機種の違いによって、画面や操作が異なりますが、大体どの機種も「太陽みたいなマーク()」や「()マーク」が目印で、それが出たら上下か左右にスワイプすれば、明るさを変えられると思います。
ふんわり優しいボケ感を出したければ、少し明るめに撮るのがコツです。
ミラーレスは見たままが写せるので、露出補正も簡単、明るさの失敗も少なくなりました。
お任せオートでもボケるのは、カメラが小さいF値にしてくれるから
最後に F値のお話です。
ここまでご紹介した内容をお試しいただくと、お任せオートでもプログラムオートでもスマホでも、背景をボカして撮ることができたのではないかと思います。
よく聞く「絞り優先でF値を小さく」という話はなんだったのか? と、思われるかもしれませんが…
もちろん、ボカしたかったら、F値を小さくしたほうが ボケが濃くなります。
ただ、お任せオートやプログラムオートで、F値をカメラ任せにして撮るとき、実は、カメラは小さいF値を選んでくれていることが多いんです。
ちなみにスマホは、一番小さいF値に固定されたまま変えられません。
つまり、お任せオートは、ボケやすい F値にしてくれていたり、他にも色々上手くやってくれているので、皆さんは、今回ご紹介したような、カメラがやってくれないことから集中して覚えた方が、楽しくキレイにボカせると思います。
もし、お任せオートやプログラムオートが、どうして小さいF値を選んでいるのか、気になってしまったら、それは、カメラがボカそうとしているからではなく、もっと大事な理由があるからです。
もしご興味があればこちらもどうぞ。
絞り、シャッター速度、ISO感度の関係が苦手… 露出の仕組みは「プログラムオート(Pモード)」から教わるのが1番です!
と言うわけで、絞り優先を選ぶのは少し先でも大丈夫です。
ボカしたくないとき → F値を大きくして撮りたい、パンフォーカスで撮りたい…
必ず最小F値で撮りたいとき → 明るい単焦点を買った時など…(オートだと最小F値になったり・ならなかったり)
撮りたいF値が決まっているとき → そのレンズのスイートスポット(レンズ性能が最も高まるF値)で撮りたいなど…
などという要望があるときに使うと、しっかりと違いを活かせると思います。
ただ、F値だけに気を取られると… オートでは起きない失敗に遭遇します。
最後までご覧いただきありがとうございました。