バラ科サクラ属の『梅』の季節がやってきました。
咲いている横を歩くだけでも、いい香りに包まれて、静かに進む季節に気づかせてくれます。
もちろん、写真の被写体としても大人気です。
有名スポットでは、多くのみなさんがカメラを構えていらっしゃいます。
今回は、そんな『梅』を撮るときのポイントやバリエーションを、いくつかご紹介していきたいと思います。
設定は簡単に!『普段使い』のままで大丈夫
撮影モードは『プログラムオート』や『絞り優先』がオススメです。
『大事な7つの設定』は『普段使い』のままで大丈夫です。
どんな時でもそうですが…
『写真の明るさ』は『自分好みの明るさ』に、しっかり『露出補正』で合わせて撮ることが大切です。
特に『薄い色の花びら』は『白飛び』しないように撮ると上手に見えます。
『電子ファインダーやモニター』で確認しながら『0.3段』までこだわって調整していきましょう。
また『ホワイトバランス』の設定を変えて、色を付けて撮るのもキレイです。
『ホワイトバランスの微調整』ができるカメラなら、赤やピンクを薄く『足す』と…
ちょっと可愛い感じがプラスされます。
なんとなくいい香りがしそうな気もします(笑)
望遠レンズで切り撮る
『梅』を撮るときも『望遠レンズ』が大活躍です。
「近寄れないけど、あの部分をもうちょっと大きく撮りたい」
望遠レンズは、ただ『遠く』を撮るだけのレンズではありません。
『最短撮影距離』までは『近寄って』撮ることもできるんです。
「柵があって近寄れないけど、ちょっとあそこを大きく撮りたい」
こんな時も『離れていても大きく撮れる』望遠レンズの出番です。
いわゆる『テレマクロ』的な使い方が、お花には有効です。
「全体を入れると、後ろの看板や人が入っちゃう…」
こんなケースはよくあります。
広角レンズは、望遠レンズより『広く』写りますが…
この『広さ』は、背景の奥、遠くへ行くほど大きな差になります。
広角レンズでも、望遠レンズでも、撮影距離を変えれば、被写体を『同じ大きさ』に撮ることもできます。
望遠レンズで『後ろに下がって』覗いてみたら…
「『写真に入れたくないもの』が画面から外れた!」
なんてこともありますよ。
「来るのがちょっと早かった…」
ちょうど『満開』の頃に撮りに行ければラッキーですが、なかなかそうもいきません。
こんな時は『圧縮効果』を狙ってみましょう。
奥に並んだ木を、離れたところから望遠レンズで撮ってみると…
実際より『盛った感じ』に写すことができます。
一本の梅でアイディア勝負
同じ梅の木の一部分を『狭く切り撮る』と言っても…
『どこをどうやって切り撮るか?』で写真は全く違ってきます。
まさに『無限のバリエーション』です。
友達と同じ木を撮ってみて、写真を比べると面白いと思います。
「へー!ここを撮ったんだ!」
なんて、相手のアイディアに驚かされるかもしれません。
レンズを上手に使いこなせるようになると写真の楽しさが広がります。
『レンズのキホン』はしっかりマスターしておきましょう!
晴れの日か?曇りの日か?
快晴の日の太陽の光は、遮るものが何もなく、そのまま『直に』上から降りそそぎます。
こういう光を『硬い(ハード)光』と言い、影も強く出ます。
一方、雲を『通過』して降ってくる光は『柔らかい(ソフト)光』と言い、影もソフトです。
雲の厚さによっては『ほとんど影が出ない』なんてこともあります。
このような『光質の差』もあって…
お花は『曇りの日』に撮る方が簡単で、キレイに撮れちゃいます。
しかも、今回の『梅』のように、薄い花びらの質感を撮るときは特にそうなんです。
もし、晴れの日でも『日陰』に咲くお花を探して撮った方が、質感が出しやすいですよ!
女性を撮るときも、お花を撮るときも…
『曇りの日』がオススメです。
また、同じ曇りの日でも『薄い雲』『厚い雲』など様々です。
『光質の違い』を意識しながら撮ってみてくださいね!
曇りの日のお花の注意点は…
◎ 『青みがかる』ことがあります。
曇りの日は、写真に少し『青み』が付いてしまうことがあります。
これは『ホワイトバランス』の問題です。
基本的には『オートホワイトバランス(AWB)』で大丈夫ですが…
撮った写真を見て「ちょっと青いな」と思ったら…
『ホワイトバランス』を『曇天』に設定するか…
『ホワイトバランス微調整』でお好きな色味に調整するか…
で対応しましょう。
◎ 『鮮やかさ』が物足りないことがあります。
曇りの日は、色の発色が弱めに写ることがあります。
「鮮やかさが少し足りないなぁ」と思ったら…
画質の設定で『鮮やかさ』を少し強めに設定するのもオススメです。
ただ、逆に『しっとりとした質感』と『上品な色』を狙って撮るのもアリですよね!
背景はどうする?
『ただ撮っただけ』の写真にならないように、背景をしっかり考えて撮りましょう。
◎ キレイな『青空バック』にしてみる。
青空の『青』を背景にする場合は、太陽を自分の背にして『順光』で撮りましょう。
『逆光』でも空だけなら『青く』写りますが…
メインの『梅』は暗く潰れてしまいます。
『梅』に明るさを合わせようと『露出補正』で明るくすると…
『空の青』は、薄く(もしくは真っ白)なってしまいます。
ただ、これは『逆光で花びらを透かして撮るテクニック』なので、すごくキレイなのですが…
◎ 背景を暗く(黒バック)して『お花』を引き立ててみる。
ちょっと雰囲気ありますよね?
でもこれも『光の明暗差』を探して撮るだけ。
簡単です。
探すのは…
『撮るお花(明)』と『お花より暗い背景(暗)』です。
ちょうど後ろが影になっている…
暗い色の家の塀がある…
などなど
「黒バックで撮ってみよう!」と思ったら、先に『暗い背景』を探しましょう。
陽が傾く時間帯の方が『明暗差』がつきやすいですよね!
もちろん『真っ暗な背景』が見つかればラッキーですが…
『写真に写る明暗差』は『目で見る明暗差』より大きくなります。
あまり広い『暗い背景』を探すのは大変ですから…
こんな時も『望遠レンズで狭く撮る』のが簡単です。
ハイキーな『梅』で少しアートに
先日、梅を撮りに行ってみたら、多くの外国の方がカメラを構えていました。
みなさん、独自の目線で日本の風景を上手に撮るので驚きますが…
日本人として負けるわけにいきませんよね?(笑)
日本画のような、ちょっとアートな感じに『梅』を撮ってみるのも面白いと思います。
シンプルでハイキーな背景にしたいので『空』を使います。
カメラを真上に向けてもいいかもしれません。
空をバックにすると、電子ファインダーやモニター上の『梅』は暗く見えるはずですので…
プラスに『露出補正』して『梅の明るさ』に合わせていきます。
すると、バックは『真っ白』もしくは『薄いグレー』になります。
もしできれば、ここで一旦『AEロック』して、今の『画面の明るさを固定』してしまうと後が楽ちんです。
(『AEロック』については『ミラーレス(一眼)の本領発揮!『AEロック』の上手な使い方』もご参考ください。)
あとは、複雑な形をした『幹や枝』を『線』として描くイメージで…
一番『絵になる』構図を探しましょう。
『広角』を使えば、細い枝の緻密な感じがカッコいいですし…
『望遠』を使えば、花びらが模様のようになります。
こんなときも、指先で自在に画角を変えられる『ズームレンズ』が便利です!
梅が撮れたら桜も撮れる!
『薄い色の花びらを上手に撮る』というのは、桜を撮るときも同じです。
桜の季節を待つ今のうちに…
『露出補正』で明るさのコントロール。
『ホワイトバランス』で色のコントロール。
しっかり指で覚えてしまいましょう!
最後になりますが…
残念ながら落ちてしまった花びらも、撮ってあげるとキレイですよ!