いちばんはじめに知っておきたい『レンズのキホン』を7つご紹介しています。
3つ目は「焦点距離と被写体の写る形の関係」についてです。
広角レンズは歪みやすい!
焦点距離は…
焦点距離が短い(数字が小さい)= 広角。
焦点距離が長い(数字が大きい)= 望遠です。
『焦点距離 「写る”範囲”が変わる」レンズの使い方』で詳しくご紹介しています。
以前、料理教室に通われている方から、このような質問をいただきました。
「丸いお皿が、丸く撮れないんです!」
目の前にあるお皿ですから、広角レンズで近付いて撮ってしまいがちですが…
『広角側』で撮ると、遠近感が強調されて、被写体の形が歪んでしまうことがあります。
実際の見た目より手前は大きく、奥は小さく写ります。
丸いお皿を『広角レンズ』で撮ると、お皿は歪んで写ってしまいます。
反対に『望遠側』で撮ると、被写体の歪みは少なく『見た目に近い形』で撮ることができます。
丸いお皿を丸く写すことができます!
これは『料理』や『小物』を撮るのが好きな方はとても重要なところです。
飲食店をされている方で「自分でメニューの写真を撮っている」という方も大事です!
料理や小物の撮影は『80mm(35mmフィルム換算)くらい』のレンズがオススメです。
広角レンズを使わずに『被写体から少し離れて撮る』と一番自然な形に写ります。
焦点距離が短い = 広角 = 歪みやすい
焦点距離が長い = 望遠 = 歪みにくい
大丈夫でしょうか?
中望遠〜望遠で自然な『形』に!
また、縦に長い被写体を『広角側』で ”上め” から撮ってしまうと歪みが強調されます。
同じ大きさの3つの筒を縦に並べて撮ってみました。
①の写真は『80mm(35mmフィルム換算)』のレンズで撮っています。
3つの筒は『ほぼ同じくらい』の大きさで写っています。
②の写真は『28mm(35mmフィルム換算)』のレンズで撮っています。
3つの筒の大きさが『 1 > 2 > 3 』の順で明らかに違います…
『大きさ』も『形』も変わってしまっています。
例えば人物を撮るとき、このように『広角側』で ”上め” から撮ってしまうと『頭がでかい』で『足が短い』写真になってしまいます。
背が高い方は特に注意が必要です!
人物を撮る場合も『望遠側で少し離れて』撮る方がオススメです。
『相手の胸くらいの高さ』に合わせて撮ると、全身のバランスが良くなりますよ!
中望遠〜望遠レンズを使って『離れて撮る』という感覚を是非身につけましょう!
広角レンズでワザと歪ませる!
もちろん『広角側』の歪みを、ワザと生かして撮る写真も面白いんです!
少し前に『鼻でかペット』の写真が流行りました。
これは、広角レンズでペットの『鼻』にグッと近づいて、大きさをワザと強調させた写真です。
『広角レンズでグッと近寄って撮る』と実際の見た目と違った、迫力のある写真が撮れます!
離れて撮ると近くなる?『圧縮効果』
『寄って撮る / 離れて撮る』をもう一つご紹介します。
『被写体と皆さんの距離』は重要です。
同じ距離から撮れば『広角は広く』『望遠は狭く大きく』写ります。
ですが、被写体との距離を変えれば、広角でも望遠でも『同じ被写体を同じ大きさ』に写すこともできます。
『ほぼ同じ大きさ』で撮ってみましょう!
① メインの被写体を決めて、その30cmくらい後ろにもう一つ被写体を入れます。
② 広角と望遠で、メインの被写体が『ほぼ同じ大きさ』になるように撮ってみます。
28−80mm(35mmフィルム換算)のズームレンズで撮るのが一番簡単です。
端と端の ”28mm” と ”80mm” で『同じ大きさ』に撮ってみましょう。
被写体と皆さんの『距離』が変わりましたよね?
『広角側では近付いて』『望遠側では離れて』となったと思います。
さて、撮れた写真の『被写体同士の距離』を見てみましょう!
近づいて撮った方は…
2つが『離れて』写っています。
離れて撮った方は…
2つが『近付いて(圧縮したように)』写っています。
被写体を途中で動かしてないのに不思議ですよね!
被写体から離れて撮るほど、写った『被写体同士の距離』は縮まるんです。
これは『圧縮効果』と言って、よく使われるテクニックです。
実はこの『圧縮効果』は、望遠レンズじゃなくてもいいんです。
『被写体から離れて』撮れば、広角レンズでも縮まって写ります。
ただ、広角レンズで離れて撮ると、被写体が小さくなってしまいますよね?
『圧縮効果』を見せたくても「小さくてよく分からない!」と言われてしまいます…
なので『圧縮効果』を狙う時は、望遠レンズで撮ることが多いんです。
野球中継で、ピッチャーとバッターを写すシーンを思い出してみてください。
「ピッチャーとバッターの距離ってこんなに近いの??それで160km/hのボールを投げて大丈夫なの?」
と思ったことありませんか?
これはまさに『圧縮効果』を見ているんです。
マウンドからホームベースまでの距離は『18mちょっと』離れているようですが…
左側の写真を見ると、選手の大きさからイメージして『5mあるかないか?』くらいに見えます!
でも、迫力満点です。
一番遠く離れたセンター(右の写真の赤で囲った部分)から『超望遠レンズ』で撮っているので、圧縮効果が生まれているんですね!
すごく離れて撮る例を紹介しましたが…
手の届く範囲の被写体を撮っても『圧縮効果』は出ます。
先ほど撮っていただいた写真でもお分りの通りです。
公園のお花を『離れて・望遠』で撮ると、お花が前後に密集しているように撮れます。
ちょっと数が寂しい所でも『咲き乱れている!』という感じを出すこともできます。
皆さんのアイディア次第で…
『迫力のある写真にしたり』『不思議な感じに写したり』
いろいろ面白い写真が撮れますので、是非チャレンジしてみてくださいね!
では最後に…
今度は、実際に『目で見た感じと同じくらいの距離感』に写るように撮ってみましょう!
広角は離れて…望遠は圧縮して写りますから、その中間ですね!
できましたか?
レンズの使い方を覚えると、本当に写真が上手に楽しく撮れるようになると思います。
たくさんお持ちの方は『あまり出番のないレンズ』があれば、積極的にそのレンズで撮ってみましょう。
ズームレンズ1本で「そういえば、私いつも広角側でしか撮ってないな…」という方、望遠側もどんどん使いましょう。
望遠レンズは、人間の見た目と違う『写真ならではの表現ができる』とても面白いレンズなのです!