”パンフォーカス撮影”に挑戦!レンズと絞りの組み合わせ

手前も奥も、写真全体にピントを合わせたい!
風景やスナップ撮影のとき、こんな撮り方をしたいときがあります。

今回はそんな「パンフォーカス撮影」の仕組みをご紹介していきます。

レンズと絞りの特性を組み合わせて…
ピントの合う範囲をコントロールしてみましょう。

全てにピントが合ったように見える仕組みとは?

『パンフォーカス撮影』とは、手前から奥まで、全てにピントが合っているように写す手法です。

まずはじめに…
皆さんがピントを合わせたところを『ピントの山』と呼びます。

被写界深度,深い,パンフォーカス

ただ、ピントの山以外は全てボケるかといえば…
そんなことはありませんよね?

ピントの山を挟んだ”手前側”と”後側”には、まだ”ピントが合って見える範囲”が続きます。

被写界深度,深い,パンフォーカス

そして、その範囲を超えたところから徐々にボケていきます。

被写界深度,深い,パンフォーカス

この”ピントが合って見える範囲”のことを『被写界深度』といいます。

被写界深度,深い,パンフォーカス

この『被写界深度』は、絞りやレンズをコントロールすることで…
”浅くしたり”、”深くしたり”することができます。

浅くすると…
=ピントが合って見える前後の範囲が”狭く”なる。

深くすると…
=ピントが合って見える前後の範囲が”広く”なる。

そして、後側のボケが完全に無くなるまで『被写界深度』をググッと”深く”した状態…
それが『パンフォーカス』です。

被写界深度,深い,パンフォーカス

(『被写界深度』については絞り優先:A (Av) モードでも詳しくご紹介しています。)

被写界深度を”深く”する3つの方法

被写界深度を”深く”する方法は…

① 焦点距離の短いレンズを使う。
② 絞りを絞る(F値を大きく)。
③ 被写体から離れてピントを合わせる。

の3つです。

気づいた方もいらっしゃると思いますが…
ボカす方法と真逆”です。

ボカしたいなら、被写界深度を”浅く”する。
パンフォーカスにしたいなら、被写界深度を”深く”する。
ということです。

では、実際にカメラをどう操作して、被写界深度をコントロールするのか?
続けていきましょう。

簡単!カメラとレンズの『パンフォーカス』設定

焦点距離の短いレンズを使う

なるべく広角のレンズで撮ります。
28mm〜35mm(35mmフィルム換算値)位がオススメです。

広い風景を撮るなら…
28mm(35mmフィルム換算値)。

街のスナップを撮るなら…
35mm(35mmフィルム換算値)。

こんなイメージです。
ズームレンズならどっちもイケますね!

また、同じ”画角”でも、センサーが小さい方が焦点距離が”短く”なります。
つまり『フルサイズ』のカメラよりも…
『APS-C』や『フォーサーズ』の方が、パンフォーカスで撮りやすいということになります。

さらにセンサーが小さいスマホのカメラは、常にパンフォーカスの状態です。

35mmフィルム換算については…
焦点距離 「標準?」「35mmフィルム換算?」レンズの使い方
も併せてご参考ください。

絞りを絞る(F値を大きく)

撮影モードを『絞り優先』に合わせたら…
フォーサーズなら”F11”位…
APS−Cなら”F16”位…
フルサイズなら”F22”位…
に設定します。

もっと絞れば『被写界深度』はさらに深くなりますが…
絞りすぎは画質の悪化を招きます。
また同時に、絞るほど”暗く”なるので、シャッター速度が遅くなってしまいます。

曇りの日や夕方、裏路地など…
”薄暗いところ”でパンフォーカスで撮る場合は…
手ブレ(カメラブレ)の失敗』に注意しましょう。

シャッター速度が ”1/60秒” を下回ったら…
手ブレの危険信号です。

被写体から離れてピントを合わせる

被写体に寄れば寄るほど、ボケの量は多くなります。
パンフォーカスにしたいときは、反対に被写体から離れてピントを合わせます。

広角レンズで撮る場合、ピントはカメラから”3m位先”に合わせましょう。

この3つを組み合わせれば…
カメラ(自分)から”約1m先〜後ろは全て”にピントが合ったように写ります。

被写界深度,深い,パンフォーカス

”3m先の被写体を撮る”ということではありませんよ!
”3m先にピントを合わせる”ということです。

初めだけオートフォーカス、後はマニュアルフォーカス

パンフォーカスで撮り続けるなら、オートフォーカスで毎回”3m先”を探すのは大変です。
最初にピントを合わせたら、マニュアルフォーカスに切替えましょう。
ただ、途中でピントリングを動かさないように注意が必要です。
慣れてくれば、最初からマニュアルフォーカスでもいいかもしれません。

パンフォーカスの設定が出来上がったら…
あとは、”被写体から1m以上離れる”ことだけ気をつけて…
自分の気持ちが反応したときにシャッターボタンを押すだけです!
枚数は気にせず、どんどん撮ってみましょう。

被写界深度,深い,パンフォーカス

望遠レンズだとパンフォーカスは無理?

望遠レンズでも『パンフォーカス』は可能です。

例えば、フォーサーズのカメラの場合。
”200mm(35mmフィルム換算)”の望遠レンズでも…
絞りを”f16”、ピントを”約50m先”に合わせれば…
”カメラの約25m先〜後ろは全て”にピントが合ったように撮ることができます。

遠くの被写体同士で『パンフォーカス』というイメージです。

被写界深度,望遠レンズ,パンフォーカス

被写界深度の”目安”が書いてあるレンズもあります

一部のレンズには被写界深度の”目安”が記載されています。

被写界深度,レンズ,目盛り

皆さんのレンズには書いてありますか?

ちょっと高めなレンズや、広角の単焦点レンズだったりすると付いています。
セットで買った”標準ズームレンズ”だとほとんど付いていません。

目盛りの部分だけを拡大図にしてみました。
(図はイメージです)
被写界深度,レンズ,目盛り

ピントリングを回すと、”グレーの部分”も左右に動きます。

カメラから”1m先”にピントを合わせたとき…

例えば、カメラから”1m先”の被写体にピントを合わせた時の『被写界深度』は…

被写界深度,レンズ,目盛り

F5.6なら、”カメラの先0.8m位 〜 1.5m位”まで。
F11なら、”カメラの先0.7m位 〜 3m位”まで。
F22なら、”カメラの先0.4m位 〜 ∞(無限遠)”まで。
と教えてくれます。

絞るほど『被写界深度』が深くなることが良く分かります。

カメラから”0.5m先”にピントを合わせたとき…

次に”0.5m”まで被写体に近寄ってピントを合わせた時です。

被写界深度,レンズ,目盛り

『被写界深度』は…
F5.6なら、”カメラの先0.5m位 〜 0.6m位”まで。
F11なら、”カメラの先0.5m位 〜 0.8m位”まで。
F22なら、”カメラの先0.5m位 〜 1m位”まで。

被写体に近寄り過ぎているので…
F値を最大にしても『パンフォーカス』にはなりません。

”F11”でパンフォーカスにするなら?

今度は、希望の”F値”が先に決まっている場合…
『そのF値でパンフォーカスで撮るには、何m先にピントを合わせれば良いか?』
調べることもできます。

まず先に『∞(無限遠)マーク』を後側の ”11” に合わせます。

被写界深度,レンズ,目盛り

そうすると…
カメラから”3m位”先にピントを合わせれば…
カメラの約”1m位”先からの『パンフォーカス』で撮れることが分かります。

自分で被写界深度を調べたいときは

『被写界深度』は計算式で出せますが複雑です。
計算するよりも、調べちゃう方が簡単ですよ。

① メーカーページの『被写界深度表』で調べる。

サポートページや、仕様紹介のページに『被写界深度表』が載っていることがあります。

被写界深度,被写界深度表

ただ、少しマニアックなページなので見つけにくいかもしれません…
記載ページがないメーカーもあります。

② 計算サイトやアプリを使って調べる。

『被写界深度』を計算してくれるアプリもあります。
スマホに入れておけば、出先でちょっと調べたくなったときも便利です。

App Storeの検索窓に『被写界深度』と入力すると、アプリがいくつか出てきます。

その中で、僕が使って見やすかったのは…
『DoF Table – 被写界深度計算アプリ(無料)』です。
(アプリのダウンロードは自己責任でお願いします)

アプリをインストールしたら、お使いのカメラとレンズを一覧から選びます。

被写界深度,アプリ,パンフォーカス

すると…
被写界深度,アプリ,パンフォーカス

簡単に『被写界深度』が分かります。

一覧表で見比べると、”絞り”と”ピントの合う範囲”が連動して変化する様子がよく分かります。

ご興味のある方は是非!

少々ややこしい『被写界深度』ですが…

① 〇〇mmのレンズ で…
② F〇〇にしたとき…
③ ピントを〇〇m先に合わせると…
④ どこからどこまでピントが合うか?

この順番でチェックしていけば分かりやすいと思います。

そして、『どこまで = ∞(無限遠)』になったとき…
”パンフォーカスで撮れる”ということです。

パンフォーカスで遊んでみるならこちらがオススメです。

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