写真が暗い?ブレる?内蔵フラッシュを使うと失敗する理由とは?

「フラッシュ使って撮ると、暗かったり、ブレたりしちゃうんですけど…」

こう言われる方が多いです。

その場所が暗いから…
明るくキレイに撮ろうと思ってフラッシュを使ったのに…
どうしてなんでしょう?

今回は、カメラに内蔵されている小さなフラッシュのお話です。

内蔵フラッシュは… 使わない方が簡単にキレイに撮れるんです!

フラッシュに求められる性能は3つ…
① 光の届く広さ
② 光の届く距離
③ チャージの速さ
です。

皆さんのカメラに付いているフラッシュは、残念ながらどれも十分な性能がありません。

実は、上位機種のカメラにはフラッシュが内蔵されていません。
その代わり、スタジオの大型ストロボのコードを繋げる”接点”が付いていたりします。

フラッシュを使った撮影は、実はすごく面白く、めちゃくちゃキレイに撮れますが…
やはり、内蔵フラッシュではなかなか難しいんです。

もし、少し暗い室内で写真を撮るなら…
内蔵フラッシュはなるべく使わずに…
グッとISO感度を上げて、その場の光だけで撮った方が写りも自然でキレイです。

ただ、感度をグッと上げると言っても…
ISO感度は”オート”がオススメですので、皆さんは何もしなくてもカメラが全部やってくれます。

 ISO感度の設定とは?オススメは”ISO感度オート”

皆さんは、手ブレ(カメラブレ)をしないように”シャッター速度”に注意して撮るだけです。

手ブレしない”シャッター速度”の目安は…
手ブレ補正機能が”ON”の状態であれば、”1/60秒”くらいです。

シャッター速度が”1/60秒”より速ければ…
フラッシュは考えなくて大丈夫。

シャッター速度が”1/60秒”より遅ければ…
フラッシュを使うよりも、カメラをどこかに置いて(三脚がベスト)撮る方がキレイです。

ただ、このときに注意するのは”被写体ブレ”です!
カメラを固定していますので、”手ブレ”はなんとかなりそうですが…
友達を撮る時など、相手が動けば”ブレ”てしまいます。
「ちょっと暗いから動かないでね!」と一声かけて撮りましょう。

ただ、「動かないで!」というと、変に”止まった感じ”の写真になりがちです…
その場の自然な雰囲気が撮りたければ、「動かないで」とは言わない方がいいかもしれません。
ただその分、撮ったらすぐ写真を再生して、細かく”被写体ブレ”をチェックしましょう。

多少ブレていても、雰囲気が出ていればその方が良いこともあります。
常にカッチリ撮る必要はないと思います!

では、お話を戻して…
フラッシュで撮るとどうして写真がおかしくなるのか?
その原因を見ていきましょう。

内蔵フラッシュを使って起こる失敗は2つ!

まずは、カメラのフラッシュ設定を確認しておきましょう。

カメラ側でできるフラッシュの設定は…
① オート発光
② 強制発光
③ スローシンクロ
④ マニュアル(調光)発光
⑤ FP発光
⑥ 発光OFF

だいたいこんな感じだと思います。

内蔵フラッシュを使わない方がキレイに撮れますので…
基本は常に”発光OFF”にしておきましょう。

そして、フラッシュを使いたい時は…
”強制発光”か”スローシンクロ”に設定します。

スローシンクロは馴染みがないと思いますが…
カメラの内蔵フラッシュで、唯一キレイに撮れるのは”スローシンクロ”かもしれません。
理由は後ほどご紹介します。

”オート発光”は、光らせたいのに光らなかったり…
必要ないのに光ったり…
相手も自分もビックリしますので、もう選ぶことはないと思います。

また”赤目軽減”のモードもありますが…
フラッシュが複数回光るため、撮られる相手側からすれば…
『いつ撮られたのか分からない』ので不評だったりします。
あまりオススメしません。

”マニュアル調光発光”はその名の通り、フラッシュの発光量を自分で決めることができるモードです。
ただ、しばらく使うことはないと思います。

”FP発光”はできるカメラとできないカメラがあります。
また、フラッシュ側にも対応、非対応があります。
”FP発光”は、対応している外付けフラッシュを使って初めて有効になります。
今回は内蔵フラッシュのお話ですので、また別の機会にご紹介したいと思います。

さて、もし今お部屋でご覧になっているなら…
少し部屋を暗くして、フラッシュを使って自分の手を撮ってみましょう。

片方の手を伸ばして、背景は部屋の壁を少し遠くにして撮ります。
(片手での撮影になります…)

フラッシュは”強制発光”に設定しましょう。

7つの設定はオススメのまま。
撮影モードは『プログラムオート』か『絞り優先』、もしくはその両方で撮ってみてください。

『絞り優先』で撮る場合は、なるべく絞りを開け(F値を小さく)ておきましょう。

撮れた写真は…
① ② ③ のどれかではありませんか?

①はフラッシュを使うと暗く写って失敗…
②はフラッシュを使うとブレて失敗…
③はフラッシュを使ってもまぁまぁキレイ!

同じようにフラッシュを”ON”にして撮っただけなのに、なぜこんなに違うのか…
これは、”シャッター速度”と”ISO感度”が大きく関係しています。

① フラッシュを使うと暗く写って失敗…

①のように写るカメラは、フラッシュONにすると…
ISO感度 → 低感度に固定される。
シャッター速度 → 1/60秒位に固定される。
カメラなのかもしれません。

暗い場所なので、本当は感度を上げて撮りたいところですが…
低い感度に設定されてしまうんです。

もし、同じISO感度と”1/60秒”の設定で、フラッシュ無しで撮ったら…
間違いなく”暗い写真”が出来上がるはずですよね?

その暗い写真の中で…
”フラッシュの光”が届いたところだけが”明るく”写った状態が①の写真です。

光が届かなかったところは暗いまま残ります。
これが、内蔵フラッシュで撮った写真が暗く見える原因です。

フラッシュの光が届かない部分を明るくするには…
シャッター速度をもっと遅くするか?
ISO感度をもっと上げるか?
が必要ですが、両方ともカメラがガッチリ固定しています。

このカメラでフラッシュを使って撮りたいときは、次の②の方法がオススメです!

② フラッシュを使うとブレて失敗…

②はフラッシュを使うとブレて失敗するケースです。

ただ、①の写真と違って、後ろが”明るく”写っています。
ブレてさえいなければ、キレイに撮れている惜しい写真なんです。

①と比べて後ろが明るく写った理由は…
部屋の明るさに合わせて、カメラが”シャッター速度”を遅くしてくれたからです。
写真を再生して、”シャッター速度”を見てみると良く分かります。

②のカメラは、フラッシュONにすると…
ISO感度 → 低感度に固定される。
シャッター速度 → 固定されない。
カメラです。

まず、シャッターが開くのと同時に、カメラはパッとフラッシュを光らせます。
そして、光が当たった部分だけを先に記録します。
その後、その場所の明るさに合わせてシャッターを長く開けて、ジワジワっと周りの明るさを足していきます。
つまり、フラッシュの光と、その場の光をミックスして写してくれるんです。
これが『スローシンクロ(先幕)』というフラッシュの当て方です。

②のカメラは、フラッシュONで自動的に『スローシンクロ』になる仕様だということです。

ただ、惜しいのは写真がブレていることですよね?
このブレは、ジワジワっと周りの明るさを写している間に、カメラか被写体が動いてしまったせいです。

撮る直前の”シャッター速度チェック”は常にお約束です。

この場合でも、チラッと先にシャッター速度を見れば…
手ブレ(カメラブレ)するかも」と分かるはずですよね?
こんな場合は、カメラを固定して撮ればOKということです。

この『スローシンクロ』のテクニックを使えば…
内蔵フラッシュでも、お花の影を消したり…
夜景と人物を同時に撮ったり…
実は結構使えるんです。

はじめは少し難しいかもしれませんが…
ぜひ皆さんも『スローシンクロ』を覚えておきましょう!

①のカメラでも、設定で『スローシンクロ』を選べば、同じように光をミックスさせて撮れます。

③ フラッシュで撮っても”まぁまぁ”キレイに写る!

③の写真は暗くもなく、手ブレもなく、まぁまぁキレイに写っています。
これは、”ISOオート”が働いて、自動的にカメラがISO感度を上げてくれたためです。

③のカメラはフラッシュ使用時に…
ISO感度 → 固定されない。
シャッター速度 → 1/60秒くらいに固定される。
カメラです。

光をミックスして撮りたいけど…
勝手に『スローシンクロ』にしたらブレて文句言われそうだから…
シャッター速度はそのままにして、ISO感度を上げよう!
カメラの頭の中はこんな感じでしょうか…

この仕様のカメラなら、内蔵フラッシュで撮っても失敗が少ないかもしれません。

これは、1コマごとに”ISO感度”を変えられる…
デジカメならではのフラッシュ撮影と言えます。

ご自分のカメラが、フラッシュ使用時でも”ISOオート”が有効か調べるなら…
フラッシュONのまま、部屋の明るい場所と暗い場所にカメラを向けて撮ってみましょう。

そして、それぞれの写真の”ISO感度”をチェックして…
ISO感度が変わっていれば、フラッシュ使用時でも”ISOオート”が働いているということです。

もし、”ISOオート”が効かなくなるカメラでも、自分で感度を変えれば同じです。
ただ、難しい+大変なので、あまり実用的ではありません。

やはり、光をミックスさせて撮りたければ…
『スローシンクロ』で撮る方が簡単です。

内蔵フラッシュでキレイに撮るには… 光を上手く混ぜるのがコツ!

繰り返しになりますが…
光量が弱い”内蔵フラッシュ”の光だけで撮ってもなかなか思い通りには写せません。

内蔵フラッシュでキレイに撮るコツは…
フラッシュの光とその場所の光(定常光)を上手にミックスさせることです。

上の3枚の写真を見てみれば…
①はフラッシュの光だけで撮った結果。
②と③はフラッシュと定常光がミックスされた結果。
だと分かると思います。

ただ、ミックスさせなきゃいけないのは、”明るさ”だけではないんです。

③の写真はまぁまぁキレイですが…
なんとなく”色合い”が気持ち悪くありませんか?

そうなんです。
”ホワイトバランス”も上手く混ぜないと(合わせないと)…
なんとなく”不自然な感じ”が残ってしまいます。
③は、定常光の赤い光と、フラッシュの白い光の両方が中途半端に写っています。

ちなみに、②のスローシンクロは…
ジワジワっと”明るさ”と同時に”色合い”も混ざっていくので、③よりは自然な感じに見えると思います。

もし、”色合い”もちゃんと合わせるなら…
フラッシュ側にアンバー系の色温度変換フィルターを付けたりなどが必要です。

「ちょっとそこまでは…」って感じですよね?(笑)

ミラーレスカメラは、『撮る前に、写る明るさと色合いがモニターで確認できる!』という優秀さがウリですが…
一瞬しか光らないフラッシュの光がどう写るか?までは確認できません。

難しさに挑むのも、フラッシュ撮影の面白さでもありますが…
はじめは、フラッシュを使わないでキレイに撮るコツを覚える方がオススメです。
その方が楽しく、簡単にキレイな写真が撮れるハズですよ!

Thank you for reading !!

普段の何気ない瞬間こそ、大事にキレイに撮ってほしい

FLOWERCAMERAは そんな想いではじめた小さな写真教室です。
皆さんが写真を楽しく撮れるように、お手伝いできたら嬉しいです。

FLOWERCAMERA